募金のお願いだ。
「アフリカに井戸を」
「赤ん坊に綺麗な水を」
「子供達に学用品を」
切実な状況を訴える写真と文章。
ぼけーっと読み流してたら、思い出した。
物乞いが大群で襲ってくるインド。
はだしの子供達、腰の折れ曲がった老人、赤ん坊を抱いた女。
たくさんたくさんの手が伸びてくる。
貧しいんだ。
飢えてるんだ。
助けてくれ。
ていうか、助けろ!
・・・だってあんた金持ってるんだろう?
小銭を与えてもなんにもならない。
いたずらに介入するくらいなら、何もしない方がマシ。
なんか口ではみんなそう言うんだけど、でも、
時には負けちゃって金を出す。
申し訳なさそうにコインを渡す。
ガンジス川のほとりで一人の旅人がこう言った。
「僕らが安楽に暮らせるのは、ある意味、彼らのおかげかもしれない。
僕らは彼らのぶんの富を吸い取って、それで豊かに生活できているのかもしれない」
だから物乞いに迫られると申し訳なくなってしまうのだと。
個人はどうあれ、世界的にみて私達は圧倒的に『持てる者』だ。
水がある。
学用品もある。
テレビを見てる。
持たざる者から吸い上げた富を返すのは当然の義務だ。
・・・インドで小銭をばら撒いても仕方がない。
そう思いながらユニセフの振込用紙を手にとってみる。
「マダム、マダム、プリーズ」
と最後まで追い縋った女の子の、小さな手を思いだしながら。