いや、遠足ではない。
早弁でもない。(多分)
朝が早いのでお腹がもたないのだ。ということにしておこう。
おやつは『ソイジョイ』がお気に入り。
今日のフレーバーはアプリコットだ。

今朝もお茶とソイジョイを持って仕事に出た。
そしてそれを、お客さんから見えない所、桜の木の根元に隠して、
2箇所を数分おきに行ったりきたり繰り返す仕事をしていた。
お茶をときどき飲みながら。
数時間後。
ちょっと手が空いたのでお楽しみのソイジョイをかじろうと、
隠し場所の桜の木の根元をのぞいてみたら!
・・・無かった。
ソイジョイ、無かった。
無くなってた。
消えうせてた。
なんでだ。
探した。
見つからない。
なんでだー!
風も吹かない動物もいない、私のソイジョイ無くなるわけがない。
だけど無い。
見つからないまま仕事に戻り、
数分後。
ふたたび桜の木に、帰って来たら、そこには!
・・・変わり果てたソイジョイ(アプリコット)の姿が!
食べちらかした包み紙だけが!
草の上に放りだされていた。
誰だーーー!
私のソイジョイ食ったのはーーー!
怒りMAX。
包み紙は、さっきまで絶対になかった。
今さっき食べたとこなんだ。
辺りを見回すとお客さんが一人。
60過ぎの地味なおっさんが一人。
ふつうならお客さんが絶対に入ってこないエリア、
桜の木のすぐそばを、さりげな〜く歩いていた。
いや、ぜんぜん、さりげなくなかった。
あんたかーー!
私のソイジョイ食べたのはーーーー!
おっさんをつかまえて
「私のソイジョイ食べました?」
って聞こうかと思ったけど、聞けなかった。
やっぱりお客さんだから。
仕事だから。
証拠を隠滅された今となっては起訴することは難しいから。
睨みつけるだけで許してあげた。
睨みつけながらニッコリ微笑んでみた。
睨みつけながら視線をそらさず仕事を完遂した。
もしこれがアプリコットじゃなくストロベリーだったら、きっと許せなかったと思う。
他人のモノを食べちゃうなんてありえない。
きちんと並べておいたので落とし物には見えなかっただろうが、
たとえ
「あ、落ちてる」
と思ったとしても、誰のものか分らない物を口にする勇気は私にはない。
あのしょぼいおっさんは、拾い食いをするほど、飢えていたのだろうか?
朝から晩まで走りつづける私にとって、
1本のソイジョイは貴重なエネルギー元だったのだけど。
お腹の空いた朝だった。