2009年07月22日

日蝕

メディアが大騒ぎしていた今回の日食。
皆さんはご覧になりましたか?
私は、見ました。
仕事中にもかかわらず。
いや、仕事中だからこそ!

空は曇天。
風が雲をふきとばし、千切れ雲の合い間にチラリチラリと姿を見せる白い太陽。
私はセロハンテープをマジックで黒くぬり、『超お手軽・日食グラス』を作った。
曇り空だからそれでも十分。
 「欠けてる!
  太陽が半月になってるよ!」

欠けてるの、わかる?

声が聞こえたのか事務所から女の子がとびだしてきた。
 「それで見えるの? 見せて!」
知らない子だけど貸してあげた。
次にはお客さんがやってきた。
 「おう、日食か。見えるのか」
 「ワシも見たい!」
見えますよ!
どうぞ!
私は得意になってセロハンテープをお客さんに渡した。
テープがお客さんの間をぐるっと一周して返ってくる頃には
上司にばっちり見つかって、あとでしっかり怒られた。
 「あのお客さんVIPなんですよ」
あ、そう。
だから何?
喜んでたからいいじゃない。
私達はサービス業者だぞ。
・・・まったくつまらない会社である。

叱られたので勝手に昼休みに入ることにした。
誰もいない駐車場に座り
ひとりぼっちで天を見上げた。
この仕事の数少ない利点は、
遮るもののない大空をこころゆくまで味わえることだ。

どこまでも広がる灰色の雲の海。
そのど真ん中に、心細いほど痩せた太陽が浮かんでいた。
8割まで欠けるとセロハンテープはいらなくなった。
切った爪みたいな形が肉眼ではっきりと見えたからだ。

部分日食とはいえ、それは不思議な瞬間だった。
さえずっていた鳥が鳴きやんだ。
セミも鳴いていなかった。
まるで何かを待つように。
世界は静かに静かになった。

樹と太陽

けれどもじきに、天照大神は天岩戸から顔をだす。
やせ細っていた太陽は急激なリバウンドに転じたのだ。
イカルとモズとヒヨドリが歌い始める。
私はキュウリのことを考えた。
秘密の花園で育てているキュウリ。
これからお日様の恵みをいっぱいに受けて育つのだろう。
私達人間だって同じようにお日様に生かされているのだ。
暑いのはイヤだけど。
太陽は、やっぱり偉い神様だ。
posted by だだ at 19:55| 私の空 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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