丈の高い草むらと
『私有地につき立ち入り禁止』の柵に守られていたからだろう。
ヒバリ。
ヒタキ。
アトリ。
カワラヒワ。
そばを通ると
ときどき雛の鳴き声が聞こえてきた。
季節になると、ススキやノギクやハギがきれいだった。
白蝶草の咲きみだれる斜面もあった。
どこからでも見えるのに
誰も見ていない。
どこからでも近いのに
誰も入ることができない。
それは住宅地のまんなかにある、手つかずの自然だった。
ところが、とうとう、『立ち入り禁止』の柵が取り払われた。
鳥たちを守っていた草むらはなぎ倒され
ブルドーザーが入っていった。
大手の電気屋とホームセンターが建つのだそうだ。
チェーン店なんてどこにでもあるのに。
せめて子育てのシーズンでなかったことを喜ぼう。