2007年08月01日

蝉の声

夏だ!
8月。
蝉が鳴く。
クマゼミ、ヒグラシ、アブラゼミ。
シャワシャワ、カナカナ、ジージー、ミンミン。
 「ああ、うるさい!」
と誰かが吠えた。
 「アブラゼミ集めて絞ってエタノールの代わりにしたろか!」
 「まあまあ、そう言うな」
と誰かが答える。
 「何年間も地中で暮らしてやっとお日様の下に出てきたんや。
  十日かそこらで死んでしまう、儚い命やないか」

私は夏が苦手だけれど。
夏がいつも特別な季節に感じられるのは、
・・・世界中に生命力がみちあふれ、輝いて見えるのは、
蝉の鳴き声のせいだと思う。

以前、こんな話を聞いた。
私の叔父の遺した言葉だ。

 「人間が死んだらどうなると思う?
  僕はね、魂は宇宙にかえっていくんだと思うよ。
  宇宙にはきっと魂の集まる大きなお鍋みたいなものがあって、
  みんなぐるぐるかき混ぜられて一つになって、
  そこからまた新しい魂が生まれてくるんだ。
  新しい命に宿るためにね」

そのとき叔父は癌の末期だった。
大学教授で、難しい哲学の本を書いていた叔父だが、
妻にむかって話す言葉はやさしかった。

 「もし、初めて会う人なのに初めての気がしなくて、
  出会ったとき風が吹いたとしたら、それが僕なんだよ。
  そのひとの中に僕がいるからね。
  きっと分るから。
  だから、僕が死んでも悲しまなくていいんだよ」

宇宙にうまれて宇宙にかえる。
大地にうまれて大地にかえる。
生きているのは、ほんのひととき。
蝉も。
人間も。
みんなおんなじだ。
おんなじだから、大声で生を謳歌する蝉の合唱を聞くと
 「あー、私も生きてるな」
と共感が湧くのかもしれない。
青空よりも太陽よりも、ふりそそぐ蝉しぐれがまぶしい。
夏は生命が輝く季節だ。
posted by だだ at 18:37| 家族 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。